最初乱れ飛んでいた(怪)情報もだいたい落ち着いてきて、事故の全貌が見えてきた。それらの情報を総合したところによると、転覆の原因は過積載。出港時にはかろうじて船の銃身より浮力の中心が上にあって、転覆を免れていたが、舟の走行に従って燃料が減る。燃料は船底に積んでいるので、燃料が減った分だけ重心が上に移動し、浮力の中心より上に来た時点で転覆したのだろう。舵を急に切ったのではなく舵を切らなくても船が傾き始め、一方の側の流水抵抗が強くなってそちらに急カーブしたのではないか。
悲惨な海難事故になってしまった原因は無責任な船長をはじめとした乗組員の、およそ海の男たち(女性もいたかな)の行動とは思えない、責任感皆無の行動がメインだろう。しかし海上警察にも、最初に救助された人たちが、操舵室から出てきたか、あるいはその近辺にいた人たちだったことからすると、その船のクルーたちだったとの判断は付くはずで、つまり承知の上で乗組員を最初に救助した。だから海上警察にもかなり怪しげな問題がある。そして、本来の規定を大幅に上回る重量物を積載を認めていた船会社の経営陣にも多大な問題がある。また、そんな船会社を事前に調査もせずに修学旅行の交通手段として用いた学校側にも責任の一端はあるだろう。
TV番組などを見ると、各方面の指揮者がここぞとばかり自説を述べ立てているが、わが国ではこのような自己は起こりようが無い、そんなことを小鼻を膨らませながら述べ立てている人もいた。なるほど、本邦の船舶乗組員は訓練が行き届いていて、客を置いてきぼりにして自分たちが逃げ出すなんて事は無いだろう、その点には同意する。むしろ自分たちが犠牲になってでも乗客を最後の一人まで救出しようとするのではないか。訓練施設でそのような訓練を受けていると、体がそのように動いてしまう。だから人間性とか、思いやりといったものとは違ったレベルで、そういう行動をとるだろうと思う。
だから、それは国の成熟度の違いだ、などというつもりは無い。わが国では、いまだに収束の兆候さえ見せない事故と無責任な対応があるではないか。福島で原発事故が起きたときに、長崎で放射線医学の重鎮とされていた山下俊一氏は、100μシーベルトの被爆では健康に影響ないなどと放言して、その影響の大きさから被害を受けた児童が少なからずいるにもかかわらず、責任を追及されることが無い。津波の恐れを指摘されながらそれに頬かむりして被害を招いた東電、抜き打ち検査と称して原発の用意したチェック項目にチェックを入れるだけの、検査とはいえない『検査』を繰り返してきたチェック機構など、いずれも万死に値する責任を追及されていない。
韓国でのこのたびの事故の根底に、その責任を負う必要のある人たちと、政府や警察などとの間に好ましく無い不透明なつながりがあったのではないか。その点を言いたいのだ。そう、原発事故の根底に国政の中枢にいる人たちと電力会社の間にもはや解きほぐすことが不可能な不透明で好ましく無い関係があるように。
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