自宅の屋内で炭や薪、石炭などを使った調理にご用心
- 2018/09/10
- 07:52
炭火を使って調理をすることは現在の我が国では庭やキャンプ場でのバーベキューが一般的で、屋内で炭を使って調理をすることはあまりないようにも思うが、お隣の国で34万人余りを対象にした大規模な観察研究で、炭や薪、石炭などの固形燃料を用いた料理(焼き肉など?)が心血管障害による死亡率を上げていることが明かされた。その原因がどうやら屋内大気の汚染にありそうなことも、クリーンなエネルギーに切り替えることによって心血管死の増加に歯止めがかかることを合わせて調査し、突き止めた。この情報は前回と同じくメディカルトリビューン紙上に紹介された記事による。例によって統計学的な細かな項目を全部省略してご紹介しよう。以下がその内容。
炭火焼き料理で心血管死亡リスクが上昇?
料理で石炭や薪、木炭などの固形燃料を長期間使用することが、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの増加と関係しているという研究結果が、欧州心臓病学会で報告された。研究チームの1人であるDerrick Bennett氏は「料理で固形燃料を使っている人は、なるべく早く電気かガスに切り替えるべきだ」と述べている。固形燃料を使って料理をすると空気が汚染され、CVDによる早期死亡につながる可能性があると以前からいわれてきたが、これまで明確なエビデンスは示されていなかった。今回の研究では、料理における固形燃料の使用とCVD死亡との関連に加え、固形燃料からクリーン燃料(電気、ガス)に切り替えた場合の潜在的影響を調べた。
同研究は2004~08年に中国の34万1,730人(30~79歳)を対象として実施。料理をする頻度と、使用している主な燃料について尋ね、固形燃料への曝露時間を推計した。週に1回以上自宅で料理し、かつCVDに罹患していない人に解析対象を絞り、死亡登録と病院の記録から2017年までの死亡率を算出した。解析対象者の22.5%が主に固形燃料を30年以上、24.6%が10~29年、53.0%が10年未満使用していた。10年未満の使用者のうち、45.9%は固形燃料を一度も使ったことがなく、49.1%はベースライン以前に固形燃料からクリーン燃料に切り替えていた。また、340万人・年当たり8,304人がCVDにより死亡した。
固形燃料への曝露が10年長くなるごとにCVD死亡リスクは3%増加、30年以上の固形燃料使用者は、10年未満の使用者よりもCVD死亡リスクが12%高かった。さらに、固形燃料を使用し続けた場合に比べ、固形燃料からクリーン燃料に切り替えた場合、CVD死亡リスクが低下することも明らかになった。切り替えが10年早いと、CVD死亡リスクは5%下がった。また、切り替えて10年以上経過すると、CVD死亡リスクは常にクリーン燃料を使用した場合と同等だった。以上から、長期にわたり料理で固形燃料を使うことは、CVD死亡のリスク増加と関連が見られ、クリーン燃料への切り替えでリスクが抑制できる可能性が示唆された。
汚染された空気が健康によろしくないことはだれが見てもわかるだろう。しかし、私にとってこの報告で一番驚かされたのは室内大気汚染という環境にいた人が正常な環境に戻って10年以上たたないとその悪影響が消えないということだ。炭火焼を使った美味しい焼肉に舌鼓を打って、外に出て深呼吸すればそれで事足れりという訳ではないので気を付けなければならない。またこのことから、喫煙による室内大気の汚染がいかに非喫煙者の健康をむしばむかが想像できよう。喫煙は罪深いのだ。
炭火焼き料理で心血管死亡リスクが上昇?
料理で石炭や薪、木炭などの固形燃料を長期間使用することが、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの増加と関係しているという研究結果が、欧州心臓病学会で報告された。研究チームの1人であるDerrick Bennett氏は「料理で固形燃料を使っている人は、なるべく早く電気かガスに切り替えるべきだ」と述べている。固形燃料を使って料理をすると空気が汚染され、CVDによる早期死亡につながる可能性があると以前からいわれてきたが、これまで明確なエビデンスは示されていなかった。今回の研究では、料理における固形燃料の使用とCVD死亡との関連に加え、固形燃料からクリーン燃料(電気、ガス)に切り替えた場合の潜在的影響を調べた。
同研究は2004~08年に中国の34万1,730人(30~79歳)を対象として実施。料理をする頻度と、使用している主な燃料について尋ね、固形燃料への曝露時間を推計した。週に1回以上自宅で料理し、かつCVDに罹患していない人に解析対象を絞り、死亡登録と病院の記録から2017年までの死亡率を算出した。解析対象者の22.5%が主に固形燃料を30年以上、24.6%が10~29年、53.0%が10年未満使用していた。10年未満の使用者のうち、45.9%は固形燃料を一度も使ったことがなく、49.1%はベースライン以前に固形燃料からクリーン燃料に切り替えていた。また、340万人・年当たり8,304人がCVDにより死亡した。
固形燃料への曝露が10年長くなるごとにCVD死亡リスクは3%増加、30年以上の固形燃料使用者は、10年未満の使用者よりもCVD死亡リスクが12%高かった。さらに、固形燃料を使用し続けた場合に比べ、固形燃料からクリーン燃料に切り替えた場合、CVD死亡リスクが低下することも明らかになった。切り替えが10年早いと、CVD死亡リスクは5%下がった。また、切り替えて10年以上経過すると、CVD死亡リスクは常にクリーン燃料を使用した場合と同等だった。以上から、長期にわたり料理で固形燃料を使うことは、CVD死亡のリスク増加と関連が見られ、クリーン燃料への切り替えでリスクが抑制できる可能性が示唆された。
汚染された空気が健康によろしくないことはだれが見てもわかるだろう。しかし、私にとってこの報告で一番驚かされたのは室内大気汚染という環境にいた人が正常な環境に戻って10年以上たたないとその悪影響が消えないということだ。炭火焼を使った美味しい焼肉に舌鼓を打って、外に出て深呼吸すればそれで事足れりという訳ではないので気を付けなければならない。またこのことから、喫煙による室内大気の汚染がいかに非喫煙者の健康をむしばむかが想像できよう。喫煙は罪深いのだ。
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